参加しやすい応援の4要素とそのお手本を紹介します
「良い応援」ってなんだろうかって、その答えってたくさんあると思うんですけどね。
もしそれにひとつ答えるとしたらボクは「参加感がある応援」と答えています。参加している人が多いっていう意味であり「参加しやすい」ということだとボクは考えています。
では、参加しやすい応援ってのはどういうものかというと”4つの要素”を含んだものだと思うんですが・・・
今日はそんな話です!
■参加しやすい応援の4要素
①みんながやってる
集っている多くの人がやっていて、参加することが特異でも突飛でもなく「それが当たり前」の空間になっているということ。みんながやってる。
②やりかたが分かる
応援のやり方が分かりやすいこと。何という声(言葉)を発するのか分かる。声を出したり、手の振りやタオルなどの応援道具をどのタイミングでどう使えばいいか分かるということ。
③間違えずにできる
それを間違えずにできること。間違えずにできる程度にシンプルで分かりやすく覚えやすい。もしくは覚える必要もないほど簡単な動きや言葉を使うということ。
④間違えても周りがかき消してくれる
「間違える」というのは気になったりするもの。でも、もし間違えてもその間違いに誰も気付かないほど小さなものにしてくれれば後に引きずらない。周りがかき消してくれるなら気にならなくなるもの。そういう空気ができあがっていること。
例えば、サッカークラブのサポーターが応援に参加するサポーターを増やしたいとしたら、この4要素を応援行為に含んでいけば良いと思うんです。やり方がシンプルで分かりやすくて、自分でもできそうだと思えるし、周りのみんながやってるから見て真似れば良いし、間違えてもみんなでやってるから自分一人間違えてもまぁ大丈夫でしょ!という空間を創れたらOK!なんじゃないですかね~。
■打首さんのライヴにそれがあった
みんなが参加しやすい応援ができたらいいなぁって考えていたんですが、「みんなが参加しやすい」のお手本のような場所があったんですよ。
「わー、これならみんなが参加できる。初めての人でも臆(おく)することも無い!」って。「うまいことやるなぁ~」って感動しました、ほんとに。
どこかっつーとですね、”打首獄門同好会のライヴ”だったたんですよ。
ライヴはアーティストとオーディエンスが一緒になって作るものだと思っていますが、それってサッカーと同じ。選手とサポーターが一緒に力を合わせて勝利を掴むんですもん。一緒に作る。同じなんですよ。それを強く強く感じたのがこの方々のライヴ現場でした。
紹介しよう!打首獄門同好会とは・・・
2004年結成の”生活密着型”ラウドロックバンド。日常の誰もが共感する場面や気持ちを質の高い演奏で激しく優しく歌う。2018年には日本武道館でワンマンライヴを実施。渋谷で大告知PRを行うも、その前にチケットが完売してしまう珍事!2019年には結成15年を盛り上げる全国47都道府県でのライヴツアーとファイナルワンマンツアー(東京・札幌・広島・仙台・名古屋・福岡・大阪・東京の全8公演)を行う。その総55公演のすべてを完売に至らしめた。関係者は自らの行いに恐怖した・・・(打首獄門同好会公式サイトhttp://www.uchikubi.com/pc/ )
■打首さんのライヴ現場、参加しやすい応援を作るヒントが見えてきます!
(1)声の見える化
まず特徴は、ステージに大きな画面があること。VJ(video jockey)が映像装置を使って、楽曲の映像や歌詞、言葉などを映し出します。
どのタイミングで、どういう言葉を発すればいいのかが観客もその画面を見れば即座に理解できるのです。気付いたら自分も声を出している。初めて聴く曲なのに、声が出せる(←ボクの実体験です)。
応援に参加しやすくするためと言ってもスタジアムにサポーター用映像装置を設置するのは容易ではないので「見える化」するのにできることはなんだろうかって考えると
・チャント集
・チャント動画
・歌詞ボードを掲げる
とかでしょうかね。
サポーターが歌うチャントは声が太くて聞き取りにくかったり、外来語のため初めての人には何て言っているのかが分からなかったり、テンポが速くて分からなかったりするけど、それを試合前にチャント集を見て理解したり、試合前日にyoutubeで予習したり、歌詞のボードはやる人が大変そうだから推奨しにくいけど手段としてはアリだと思います。
もっと多くの人が声を出して応援に参加しやすくする。応援経験初心者でも参加しやすくする。そのためには「見える化」って重要。
チャント集などの配布で初めてきた人、手ぶらで来た人も声の出し方やタイミングが分かればみんなが参加しやすくなる。まぁ、実際は声出さなくても手拍子だけでもいいんです。
(ほら4要素の①・②・③です、これ!)
(2)応援行為をシンプルに
ライヴの定番曲『デリシャスティック』ではフロアの全員に”うまい棒”が配られます。お馴染みのあのお菓子です。据え置き10円ミラクルプライスのあのお菓子です。配られるというか回ってくる。ドン・キホーテの袋に入ったやつが。これは分かりやすく、曲中はみんなでうまい棒を掲げ、突き上げ、振りかざすわけです。
『デリシャスティック』
棒状のものを手にすると誰もがそうする習性(?)を利用してフロアは一体感を増していくのです。これは応援にも応用したいですよ、ほんとに。
ちょっと複雑な手拍子とか手の振りとかは、ある程度応援にハマった人の満足度を高めるものでそれはそれで必要なもの。でも、誰でも初めてでも参加可能な応援ってのを提供した方がみんなが参加しやすいはずなのである。そして、応援に参加する楽しさを知った人にちょっと難易度を上げたのを「ついて来いよ!」とお誘いするのであるよ!
うまい棒を振るのはシンプルだし、何より「うまい棒を持ってきた人だけが参加できる」のではなくて、うまい棒を全員に配るんですからねwみんなが参加できるわけです。
スタジアムならタオルマフラーを掲げたり振り回したり、シンプルな動きで一体感のある応援できたらいいですよね~。タオルマフラーを買ってもらえるととても嬉しい。
(ほら4要素の①・②・③です、これ!)
(3)リズムも分かりやすく
打首さんの演奏はとてもカッコイイと思うんですが、曲によっては馴染みのあるリズム・メロディを使用しているものも多くありまして。
『島国DNA』
※三・三・七拍子のリズムで「ま・ぐ・ろ!ま・ぐ・ろ!ま・ぐ・ろ・の・さ・し・み!」とか
『ニクタベイコウ!』
※花いちもんめのメロディが曲中にあったり
これも応援行為をシンプルにするのと同じだけど、チャントに使用する曲自体も馴染みのあるリズムで誰もが「お手本」を聞いたことがあるものだと良いという例です。歌いやすい、音階やテンポも掴みやすい。こういう馴染みやすい曲でチャントに触れてもらい、歌ってもらうのですよ。
(ほら4要素の①・②・③です、これ!)
その段階を経て、「難しめだけどカッコイイ」チャントにサポーターたちをお誘いするのでありますよ。馴染みやすいだけだとあまりカッコ良くないかもしれないけど、打首さんは演奏の格好良さや激しさでそれを感じさせない。だったらよ、サポーターは声と熱と圧でかっこよさを演出すればいいと思うのよね。
(4)ここ、みんなでやるよ!
渋谷のスクランブル交差点で騒ぐ日本代表サポーター(?)が『VAMOS!NIPPON』ばかり歌いたがるのは「(オイオイオイオイ!)」の合いの手箇所で声を発したいからなんじゃないかとボクは仮説を立ててるんですけどね。
打首さんの楽曲には合いの手もだし、それ以外にも声を出したくなる仕掛けと工夫が多いんです。
『日本の米は世界一』
『歯痛くてfeat.Dr.COYASS』
サッカーのチャントだとなんだろうね。「かっしわ!オレオレ!!」とかかね?
サポーターが声を発したくなるような工夫と仕掛けを込めておくと、「ここ、みんなで声を出すよ!」ってとこを作れたりしますよね。
その一瞬を叫びたくてそこに来るってのはライヴでもゴール裏でもあるんじゃないですか?
(ほら4要素の①ですね、これ!)
(5)周りの人たちがすごい
とまぁ、ここまであげたような要素を含んでライヴをやっているのですごいことになる。みんなが声出して参加して、歴戦の勇者じゃなくても経験が少なくても自然と参加できちゃうライヴなのです。周りのみんながすごいし、演奏の音もデカいので少々声出すとこ間違えたってぜーんぜん誰もこっち見てきたりしないし、そもそも自分一人の声だとかき消されちゃうので気にしなくてもオッケー!
ゴール裏も、選手に声を届けるんだ!なんて青い青い。青いのです。隣のサ
ポーターが声を出しやすいように自分が声を出す。そういうサポーターが多ければ、ゴール裏は声と音と圧でいっぱいになって声を出しやすい、多少間違えてもそんな声はかき消されちゃうから参加しやすい雰囲気になる。こういう雰囲気を作るためにまず自分が隣のサポーターのために声を出すんです。
(4要素の④の状態になるんですよね、これ!)
■打首さんのライヴみたいなゴール裏だと一体感も圧もすごくて楽しいだろうなぁ
みんながそこに能動的に参加してる。経験が浅くてもなんなら初めてでも参加しやすくて。その参加しやすさを作っているのは打首さんのメンバーだけじゃなくてオーディエンスのパフォーマンスによってオーディエンスが増幅していく。
ゴール裏もこんな風になればいいのになと。受け身なお客様じゃなくて、能動的に楽しみ参加する。初めて来た人でも応援に参加しやすくて。その参加しやすさはサポーター自身によって新たなサポーターを作っていくような、ね。
ライヴというのがアーティストとオーディエンスが一緒になって作るものだとすれば、それはサッカースタジアムにも似ている。
そしてボクがいくつかライヴに行って、一番「良い応援」できるのが打首さんのライヴなんですよねぇ。
サポーターのみなさんにこそ、一度体験してもらいたいです~。
■あと最後に
打首獄門同好会の大澤会長のツイートが興味深いってか、「この人、ゴール裏に通じるようなことを言ってるなー」って興味を持って、フォローして、楽曲をちょびっとたりとも聴かないままいきなりライヴに行ったんですよボクは。間違いなかった。最高だった。こりゃ良いゴール裏になるわと。
ボクが「ゴール裏やスタジアムと同じじゃん」と感じたツイートはいくつかあったけど、見てもらいたいのがあるから貼っときますね。
会長がこういう考えの人だから、こんな良い楽曲作れてライヴも作れて、ファンもすごく楽しめるんだなぁと思います。
自分はサポーターの立場でしかないけど、良い応援や良いスタジアムの雰囲気を作れるよう小さなことからやっていこうと思います。
スピーカー前の轟音に心揺さぶられるまま拳を突き上げる兄ちゃんでも、やたら人の上を転がりたがるやんちゃ坊主でも、ただただ魅入られて微動だにできずに立ちすくむ紳士であっても、同じ音楽を愛して足を運んでくれたのであればその誰が偉いでもない、皆平等なのだ。とな、そんなフロアでありたい。
— 打首獄門同好会 (@uchikubigokumon) June 10, 2015
弾けんばかりの笑顔でドタバタやってるコを微笑ましく眺めてはしかし時に思うのだ、暴れ自慢にはなるなよ、と。後でおとなしめに様子を伺っている彼よりも、たしかに君はとある感情表現の術においては長けているかもしれない。しかしそれは音楽を愛する心の優劣であろうか、そうではないのだから、と。
— 打首獄門同好会 (@uchikubigokumon) June 10, 2015
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